良い真珠の見分け方

真珠の品質を評価する要素は、真珠層の厚み(巻き)、光沢(照り)、形、色、大きさ、キズ、シミの有無など、多くの条件が絡み合うため他の宝石よりも評価が難しいと言われています。
一般的には、光沢があって厚巻きで重厚な感じがし、色調はピンク系で丸い真珠が人びとに好まれますが、この様な真珠の出来る割合はたいへん低いため高価です。
真珠層の厚み(巻き)
 真珠の良し悪しを判断する上で、まず、大切なのが真珠層の厚みです。厚いほど良品質です。真珠とは、真珠のもととなる核に真珠層(一層の厚みは約0.5ミクロン)を幾重にも(何千枚もの層)巻かしたものであり、あまりに巻きの薄いものは表面の真珠層を通して白い核がすけて見えます。しっかりと巻いたものは、真珠に入射した光が各層で反射し干渉をおこし、独特の色や光沢を放ちます。 見た感じが重厚で、ほんのりと輪のような光芒を画いているものは、巻きも厚く丈夫で品質も変わらないでしょう。
光沢(照り)
 光沢の悪いものは、いくら巻きの厚い真珠であっても評価は下がってしまいます。
貝胎内における真珠層の生成は、水温の暖かい時期に活発となり厚くなります。水温が低くなる冬場、真珠層の生成は遅くなりますが滑らかで緻密な層になると言われています。このため冬の間が一番美しい色をしています。従って、主に冬が浜揚げ時期になる訳です。尚、貝から真珠をとり出す(浜揚げ)数ヶ月前になると、化粧まきと言われる良い真珠層を分泌させる為、真珠貝を最終仕上げに適した漁場へ移動します。

 色については国によってまちまちで、日本や欧米ではピンク系、ついでシルバー系が高く評価され、南米ではゴールド系が好まれると言われています。

 真円真珠のものほど評価が高いとされていますが、形にそれほどこだわる必要はなく、バロック(変形真珠)やドロップ形のものも自然の産んだ造形美として、多くの人に好まれています。
大きさ
 真珠層の厚み、光沢とも同品質ならば、大きいほうが評価は高いです。巻きや照りと同等、あるいはそれ以上にサイズによっても大きく価値は変わります。大粒になるほど真珠養殖が難しく、巻き、照りの良い真珠が出来る確率はより低くくなる為です。
多少、巻きや照りが弱くても大きいサイズを選ぶか、サイズが小さくても、巻き、照りの良いものを選ぶかは個人の好みになります。
キズ
傷の有無は一目で判るものですが、凹凸の大きさ、数、傷の位置などにより評価は様々です。
傷は無い方が良いのは当然ですが、核入れ作業以外まったく人の手を借りずに、真珠貝にゆだねられる為、無傷の真珠は非常に少ないと思います。完全な真珠と思えてもよく観察すれば、何処かにごく小さな窪み(真珠のエクボ)や針で突いたような一点傷があります。傷は少ないに越したことは言うまでもありませんが、目を凝らして見て多少傷があっても、実際に真珠を身に装ってみて傷が目立たなければ良いと思います。特に、ネックレスのような真珠を沢山使った製品を観察してみると、何粒かの真珠にエクボ、あるいはちょっとした凹凸が見られる場合がありますが、身に着ければ案外目立たなくなってしまいます。ネックレスの場合はちょっとした傷よりも巻き、照り、色合いなどの全体のバランスが大切だと思います。リングやイヤリング、ペダントなど一点物の真珠の場合は、一点傷でも目立ってしまう場合があり注意が必要です。


御木本幸吉翁語録から、ある恩人の紹介で訪ねてきた客に[お土産に好きな真珠を十個選びなさい]と三、四百個の真珠を出した。客は喜んでその中から選び出したものを翁は、[あなたの選んだものはみなクズばかり]と笑い翁自ら選んであげると、拾い出したものは光沢、丸み、大きさこれ申し分ないが、どの真珠もわずかなキズが見えるため、その客が除いたものばかり。翁いわく、[昔から玉にキズ]といって良いものには必ずどこかにキズがある。[真珠は首飾りや指輪に加工するからキズがみえぬ様に穴をあけたり手をいろいろ加えれば、そのキズは無いものにできる。人間を選ぶときも同じことですよ。]と名言を残しています。一般的に、巻きが薄い真珠はキズが目立ちにくい(真珠層が形成される過程でキズが発生する訳ですが、薄巻きの状態で層の形成が止まっているのでキズが発生していないか、有ってもキズも薄い)為に、薄巻き真珠を選んでしまったんでしょう。
以上、説明不足ではありますが、上記のことを踏まえて実際に真珠
を手に取ってみれば、良質な真珠とは何かを判断できると思います。
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